2012年05月20日
recollection
建築家・故黒川紀章氏。建築設計のみならず、都市計画、思想、そして晩年の都知事立候補など、話題に事欠かなかった巨匠。元祖、建築設計界のスターであったと言えます。
1985年に開催された筑波科学万博では、いくつかのパビリオンを設計しました。が、今ではほとんど知られていませんが、西部工業団地を通過する高圧鉄塔は、黒川紀章氏の設計です。
科学博は未来を象徴する場でもあります。数々のパビリオンが並ぶ会場にあって、既存の鉄塔では景観にふさわしくないということで氏が設計を担当することに。
普通高圧鉄塔は鋼材を組んだトラス型が多いですが、この鉄塔は4本の鋼管を柱にして上部がリングで接合されています。高圧電線の支えはロボットの頭のよう。氏が設計すると、鉄塔も構造的な美しさを纏います。
現在では、こういったタイプの鉄塔は、環境調和型鉄塔といい増えているようです。そういえばTXの流山おおたかの森あたりにもあったような。
黒川紀章氏は、鉄塔の設計でも先駆者でありました。
黒川紀章と中銀カプセルタワービル
新聞記者時代、黒川氏に何度かインタビューをしたことがあります。黒い服しか着用しない、ガラスに囲まれたシースルーの設計室、将来ビンテージカーとなりうる車を新車で購入--など、話題に事欠かない素晴らしい人でした。
現在、一般的になっている「共生の思想」。これを唱えたのも黒川氏でした。
どれも懐かしい思い出です。
先日、思い出したように氏の初期の作品 中銀カプセルタワーを見たくなってしまいました。
メタボリズムを実際に具現化した画期的な作品。今年でちょうど完成後40年になりますが、まったく古さを感じさせない、いまでも未来を創造する建物です。
Posted by chika at 23:07│Comments(0)│都市
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